朝食用にウインナーソーセージを作ることにしました。口当たり良く滋味あふれる本来のエマルジョンタイプのウインナーソーセージの作り方です。
このエマルジョンの生地は、ボロニア、モルタディラなど様々なソーセージの基本の生地になり、あなたのソーセージ作りのレパートリーを大きく広げてくれます。ぜひトライしてください。
材料の豚肉が少し余りそうなので残った肉を利用して酒の肴用にガランティーナもついでに作って楽しむことにします。
それではソーセージの下ごしらえをします。
牛赤身肉(320g)豚赤身肉(610g)豚背脂(280g)を2cm角に切り、赤身肉に塩(13g)と※硝石(1.5g)をよく混ぜたものを完全に行渡るよう混和します。 ※硝石は特に必要でありません。使用についてはご自分でご判断ください。
残りの豚背脂にも塩(6g)をよく混ぜ、これらの両方ともぴっちりとラップし冷蔵庫で2日間寝かします。
その後、ミートグラインダーで挽く前に予めフリーザーでパーシャルフリーズ(半冷凍)しておくなど常に加工中の肉温を低温に保つ工夫をし上質なものとするため、丁寧なソーセージの作り方を心がけます。
その間、ソーセージに入れるスパイス類を用意します。
白胡椒(3.5g)メース(1g)コリアンダー(1g)辛くないパプリカ(1g)粉の生姜(0.5g)カルダモン(0.5g)玉ねぎ(15g)、粒のスパイスは粉になるまでミルで挽いておきます。
これらを基本に好みのスパイスでアレンジ出来ます。
私の場合、ジェニパベリーやクミンなどをよく使います。
次に肉を挽きます。
半冷凍状態の肉を取り出し上記のスパイス類とよく混ぜたのち、ミートグラインダー(5mmプレート)で挽きます。
半冷凍状態が固い状態の場合10mmと5mmで2度挽きすればよいと思います。
挽いた肉を後でフードプロセッサーを使いエマルジョンにする関係上300g~400gぐらいづつ均等に小分けにし、もう一度フリーザーに戻しておきます。
さて、難題のソーセージの原料のエマルジョン化です。
我家のフードプロセッサーは家庭用1.9リットルのクイジナート(300W)で結構大型ですが、一定量の雪氷(原料肉の15%)を加えても、何の工夫もなく大量の肉を低温(14℃以内)に保ったまま望まれるエマルジョン状態には出来るわけではありません。フードプロセッサーで肉を加工する場合も、想像以上に肉温を上昇させます。
言うまでもなくソーセージの製造過程では首尾一貫肉温の上昇は大敵です。
結着力を失い失敗の最大の原因となるばかりでなく衛生上の観点からも絶対に避けなければなりません。
これをおろそかにすれば、まず口当たりの良い滋味あふれた本来のソーセージを作ることは困難です。多くは結着力を失ったボソボソ、バサバサのとんでもないモノができあがり、ソーセージ作りの失敗を招く最大の一因になると言えます。
しかしながら、ある程度の準備と工夫をすれば原料肉のエマルジョン化は可能です。
そのため、プロセッサーに1回当たりかける原料を300g~400gとし、何回かに小分けしてプロセッサーにかけます。
したがって添加する雪氷(今回は213g)も回数分均等に分けておきます。
また、原料肉もいきなり角切りの状態からプロセッサーにかけエマルジョンの状態に持って行くなど乱暴な扱いは禁物です。
必ず予め挽肉にし、かつ冷凍庫で半冷凍状態にして雪氷を加えながらプロセッサーにかけると言った配慮がないとうまくいきません。
練り具合と肉温を見ながらパルスも活用するなど注意も必要です。
私の経験ではうまくいけば肉温が8℃ぐらいに上昇した時点でエマルジョン化できます。
リン酸塩など加えるともっと楽に出来るんでしょうが、この方法でもある程度満足できるものは可能です。
このように原料を小分けにしプロセッサーにかけた後、大きめのボールに氷を入れ更にその上にそれより小さめのボールを重ねたものへ全てを一緒に入れ混ぜ合わす。
この作業はかなり力が要る作業ですが、ミートミキサーがあれば楽にできます。
エマルジョン化の詳細については、失敗しない基本の押さえもご参照下さい。
次に楽しい充填の後、乾燥、スモーク、ボイルに移ります。
塩抜きした羊腸をソーセージスタッファーに装着し練りあがったソーセージの原料をシリンダーの中に空気溜りが出来ないよう入れ充填する。
ソーセージを充填した羊腸を適当な長さにねじり、さっと流水で洗いペーパータオルなどでふき取った後、50℃のスモーカーで乾燥させ表面が乾き張りが出てきた段階で煙を出し70℃~80℃に温度上げ燻煙(私の場合15分ぐらい)する。
燻煙が終わったらソーセージを75度ぐらいの湯で15分ほど茹で,その後流水に放ち温度を下げる。
コラーゲンのソーセージケーシングは可食性ですが、ボイル途中で破れやすく扱いが難しいので、やはり天然の羊腸の使用をお勧めします。
また、豚腸を使えばフランクフルトソーセージになります。
大事なことは、ソーセージをボイルする前に表面を乾燥をさせることにより表面のパリッとした食感が生まれことをお忘れなく。
流水で温度が下がったらソーセージをざるに引き上げ、さっと熱湯をかけ流し表面の脂分をとり、ペーパータオル等でソーセージ表面の水分を拭きとり冷ました後冷蔵庫で保管する。
今回は難しいエマルジョンソーセージに挑戦しましたが、エマルジョンソーセージにはソーセージ本来の美味しさがあります。
また、ここで作ったエマルジョンの生地を基本に、様々なスパイスやハムの小片やピスタチオその他様々なバリエーションのフレーバーを入れ、ボロニア、モルタディラ、その他太物ソーセージの生地になりますので、お宅でフードプロセッサーをお持ちの方は是非一度お楽しみください。
余った豚肉と今回のエマルジョンソーセージの生地を使ったガランティーナは次回にいたします。
【2014年1月追記】
ガーデンクックにて総合塩漬剤のお取り扱いをはじめました。
ソーセージ作りのために硝石をお探しの方はぜひご覧ください。
■ハム・ソーセージ用総合塩漬剤 P-31
上記の総合塩漬剤を使用したウインナーソーセージの作り方は、
「スパイスミックスと総合塩漬剤を使ったウインナーソーセージの作り方」をご覧ください。